アスランの部屋で…


「適当に座ってて、飲み物でも持ってくるよ。」
 アスランの部屋は何度か訪れたことがある、
キラはいつものごとく品の良い上等そうなクッションを並べた
ソファーの上に腰をおろして彼を待った。

(アスラン…本当にあんな事するつもりなのかな…)
 今日授業でならったことは、少なからずキラにはショックだった。
まさか父と母が毎晩自分の知らぬところで
裸になって絡み合っているとは到底信じられない。
両親が抱き合ったりキスをしているぐらいなら
何度か目の前で見ているので平気だ。
だからアスランとキスすることも、
恋人同志なら当然だと思って抵抗なく受け入れてきたのだが…。

 アスランはキッチンで冷蔵庫からジュースを出し、
綺麗に磨かれたグラスに注ぐとお盆に乗せて
自分の部屋へ運ぼうとした。
その時…
飾り棚の奥に大切そうに、
いつか父が置いたガラスの小瓶が目に付いた。
プラントに住む父、パトリック・ザラが久々に
息子の家へやってきた時、
これは試作品だから記念にココへ置いておくと言っていた。

『それは何?』
とアスランが聞くと父は
『プラントの希望』
だと答えた。

『こんな小さな瓶がプラントの希望なの?』
『ああ、これが実用化されればプラントの未来は明るいぞアスラン。』
『…?』

 父の言葉の意味がサッパリ分からず、
さかんに首を傾ける息子にパトリックは笑いながら言った。
『お前が大きくなって家庭を持つようになれば、いずれ分かるさ。
近い将来、これが完成すればお前はお前の愛する人と
永遠に結ばれる為、これを飲ませてあげるんだ。』

(愛する人…永遠に結ばれる…そうだキラにコレを飲ませてあげよう。
僕が好きなのはキラだもん!)
 アスランはその小瓶を取り出すと、
中の液体を数滴ジュースの中に振りかけた。



「おまたせ、キラ。はいコレ…」
「ありがとう。」
 キラはアスランに手渡されたグラスを受け取り、
ゴクリと一口飲む。
「どう?」
「え…ああ、とても美味しいよ。」
 ニコリと微笑むキラにアスランも笑い返す。
(これで僕とキラは永遠に結ばれるんだ…)
 彼は父の言葉の意味をそのまま受け取っていた。 
だが、その時…

「あっ…」
 キラが突然、身体を震わせしゃがみ込んだ。
「ど、どうしたんだキラ!?」
「ああ…あああ…っ…あ…アスラン…」
「キラ、キラ、どうしたんだ具合が悪いのか?」
「身体が…あ…熱い…よ・・・熱い…」
 驚いて背中を擦ろうとしたアスランは
キラの身体が熱く火照っているのを感じて
「熱いのかキラ…今…いま水を持ってくるから待ってろ!」
 あわててキッチンへ取って返す。
そうして慌てて戻ってきたアスランは、
水を飲ませようとキラの身体を抱え起したとき、
あやまって彼の胸に触れた。
「ご、ごめんっ!」
 そのあまりにも柔らかい感触に、咄嗟に手を離して謝る。
「えっ…」
だが、よく見てみるとキラの胸は何故か
上着を窮屈そうに持ち上げていた。

「キ…キラ…どうしたんだ…胸…腫れてるぞ…」
「ええっ!!」
 キラもその言葉に驚いて己の胸を見る。
「ぬ、脱いでみろよ。」
「う、うん。」
 アスランに言われ、あわててシャツを捲ってみると、
腫れていると言うよりも、少女のように可憐な、
たわわに実った桃のように瑞々しい両の乳房が
ぷるんと少年達の前に現われた。
「キ…ラ…」
「えっ、えっ…」
 訳も分からず二人はポカンと見詰め合う。
が、いち早く己を取り戻したアスランが言った。
「そ、そうだキラ…下は?」
「…っ!!」
恥ずかしいなどと思う間もなく、キラは胸を露にしたまま
己のズボンの中に手を入れて確かめ…真っ青になった。
「つ…付いてない。」



「アスラン、アスラーン!!」
 母親の呼ぶ声に、
咄嗟にアスランはキラを残して部屋を出ていった。
「あ、母さんお帰り。」
「キラ君が来ているの?」
「う、うん」
「おやつでも持っていきましょうか?」
 今部屋に入ってこられては、と慌てて首を振り
「ううん、キラはお腹空いてないって言ってるし、
ジュース出したから…」
「そう? あ、そうそう貴方お父様の小瓶を出したでしょう?」
「ご、ごめん。ちょっとキラに見せようかと思って」
 見ると、キラに飲ませた瓶をキッチンのテーブルの
上に置きっぱなしにしていた。

「ダメよ、ちゃんと直しておかなきゃ。
もし中身を誤って飲んでしまったらどうするの?」
「…母さん、あれって何が入ってるの?」
「コーディネイターの女性が妊娠しやすくなる薬なんですって…
まだ試作の段階だってお父様は言ってたから、
あまり他人に見せちゃダメよ。」
 それを聞いてアスランは愕然とした。

(キラに飲ませたのって…そうだったんだっ!!)

「も、もしさ…男が飲んだらどうなるの?」
「え? そんなの母さんが知ってる訳ないでしょう?
あれを作ったプラントの科学者にでも聞かなきゃ」
「そ、そうだよね。あははは…」
 アスランは慌ててキラの元へ戻り、
誰も入ってこないように部屋にカギをかけた。

「大変だ…キラ…」
「どうしたの、アスラン?」
キラは己の身体の変化が恥ずかしいのか、
ふくれた胸を両腕で隠している。
「僕間違って、キラに大変な薬を飲ませてしまった。」
事情をアスランから聞き
「それで…男の僕が飲んだら女性化したんだ…」
「ごめんキラっ!僕そんなこと知らなくて…でも…でも安心して、
もしキラがずっとこのままだったら、
僕が責任を取って一生君を大事にする!
ううん、キラが男のままでも僕は君と
結婚するつもりだったけど…そ…そうだっ!
君は今女性の身体なんだから…
僕と君はSEX出来るんだっ!!」
「ちょ、ちょっとアスラン…何を言って…」
 アスランの勢いに押され、キラは後ずさる。

「大丈夫…妊娠しないようにちゃんと外で出すから」
「に…妊娠って…何言ってるんだよアスランっ!!きゃっ!」
 いきなり圧し掛かってきたアスランに驚いて、キラは床に倒れてしまう。
その上へ馬乗りになってシャツ越しに両の胸を
手の平に包み込むと、柔らかい、
初めての感触に、アスランの心臓はドキドキと高鳴った。
「やっ…いやだアスラン…やめて…」
「恐くないだろ、キラ?」
「で…でも…なんかヘンな…感じ…」
 アスランは慎重に指に力を入れ、キラの胸を揉んでみた。
「あっ!」
「キラ…痛い?」
「痛くはない…けど…」
「じゃあ、感じるの?」
 さっとキラの頬が赤く染まり

「ヤだ…そんな…僕…あ…あんっ…ああ…」
 ゆっくりとアスランの手が、キラのふくらみを手中にしたまま
動き出したので思わず声が漏れた。
「ねえキラ…服…脱がせて…いい?」
「はぁ…はぁ…ああ…えっ…でも…でも…」
「キラの裸が見たい。」
耳元でそう囁くと、
アスランは彼のシャツのボタンに手をかけた。
 すべてのボタンを外し、胸元を押し広げて
スルリとシャツを脱がせると
中から白く、艶かしい肌が現われた。
それは僅かに紅潮し淡いピンクに色付いて、
まるで目の前のアスランを煽っているかのようであった。
思わずアスランのゴクリと唾を飲みこむ音が室内に響く。

「アス…ラン…」
「綺麗だ…綺麗だよ…キラ…」