キラとワインとアスランと…B


口の周りを己の精で汚し、
潤んだ眼差しを向けてくるキラの姿が
倒錯的で艶かしい。

わが妻ながら、これほどの美女は
この世にキラを置いて他には居ないと思う。

そのキラが、一途に自分を求めているのだと思うと、
アスランの股間は、すぐにムクムクと復活した。

「キラ…」

華奢な彼女の身体を、ゆっくり床へ押し倒しシャツをたくし上げる。
現れたピンクのブラジャーの上から、豊かな両の胸を揉みしだくと…

「あ…あ…っ…」

そのリズムに合わせるように、ピクピクとキラの身体が反応する。
さらにアスランはスカートの裾から手を入れて、
彼女の内腿を撫で、ショーツの中へ指を侵入させた。

妻の蕾は充分に濡れていて、すでに準備はOKであることを示している。

アスランはごくりと唾を飲み込んで、キラのショーツを
手荒くズリ下ろすと、彼女の脚の間へ身を入れて
己の男根を突きたて、一気に貫こうとした。

が…

「いや…」

あれほど積極的に誘っていたキラが、身をよじらせて拒んだのだ。

「キ…キラ…」

アスランが情けない声を出す。

「ちゃんと服を脱がせてくれなきゃヤダ…」

「あ、ああ、そうか…そうだな…」

キラの言葉に素直に従い、アスランは優しく彼女の服を脱がせる。

シャツを脱がせ、ブラジャーのホックを外し上半身を裸にして、
スカートを剥ぎ取る。

そして、ようやく目の前のご馳走に飛びかかろうとした瞬間、
またキラは『いや、いや』と首を振った。

「こ…今度はなんだ?」

目の前のご馳走に、おあずけをされた犬のように
惨めな瞳でアスランはキラにたずねる。

「アスランも服…脱いで…」

「うっ…わ…わかった…」

可愛い妻に言われると、抵抗など出来ようはずもない。
彼ははやる気持ちをおさえて、自分の服に手をかけた。

シャツのボタンももどかしげに、手早くはずし、
ズボンを脱ぎ捨て、下着を取る。

(よしっ!これで何も文句はないはずだ。)

「キラ、行くよ!」

だが、『いただきます』と勢いよく覆いかぶさったアスランは
愕然とした。
キラが己の身体の下で、安らかな寝息をたてていたのだ。

「ちょ、ちょっとキラ…ウソだろ…おい…起きてくれよ…」

頬を軽く叩いても、肩をゆさぶっても、妻が起きる気配はない。

「そ…そんなぁ。これだけ煽っておいて、そりゃないだろう?」

しかし、いくらアスランが愚痴っても、
すでに彼女は深い眠りに落ちていた…


 *


「おはよう、アスラン。」

「ああ…おはよう…」

翌朝、キラがアスランのどんよりした表情に気づく事はなかった。
なぜなら彼女は、激しい頭痛に襲われていたのだ。

「もう…痛たぁい…っ…」

辛そうに頭を押さえる妻に、アスランは言う。

「普段飲まないくせに、急にワインを一本も空けるからだよ。」

「だってぇ〜僕、憶えてないんだもん。」

「ほんとに昨夜の事は何も憶えていないのか?」

「う…ん…ワインを一口飲んだ事は憶えているんだけど…そこから先は…あイタタ…」

昨夜は、いよいよと言うところで御預けをくらわされて
不機嫌なアスランだったが。
目の前で頭を抱える妻の姿をみると、可哀相にもなる。

「大丈夫か?今日は何もしないで寝ていろよ。」

「そんな訳には…い…痛…っ…」

「子供たちの世話は俺がするから…軍には連絡して今日は有給にしてもらうよ。」

「ううっ…ごめんなさいアスラン…迷惑かけて…」

キラに、うるうると潤む瞳で見つめられると、
つい何もかも許してしまう。

アスランは妻を引き寄せ膝の上に座らせて、優しく包み込むように抱きしめた。

「いいよ。でも、もう酒なんて飲むなよ。」

「うん…もう絶対に飲まない。」


(でも昨夜のキラは…何ていうか…情熱的で良かったな…)

普段のキラも、もちろん可愛いが、アスランは
昨夜の酔って乱れた姿のキラを思い出し、ちょっぴり惜しい気がした。

だから…


【 翌 日 】


「キラ、ワイン買って来たぞ!!一緒に飲もうっ!」

「え〜、昨日はもう飲むなって言ったくせにぃぃぃぃ!!」

「いいじゃないか、二人で晩酌しよう!」

「ヤダぁ〜もう二日酔いはコリゴリだよ〜っ!」

逃げるキラを、エッチな妄想でいっぱいのアスランは、
ワインを手にいつまでも追いかけたのだった。



おしまい